貧血は鉄！だけじゃない

こんにちは、栄養士でスポーツフードアドバイザーの大貫ちあきです。

 

今日は、貧血についてのお話をします。

 

一般的にヘモグロビンが減ってしまうと貧血という状態になります。

 

ヘモグロビンというのは、ヘム（鉄）とグロビン（たんぱく質）からできています。なので、鉄はもちろんのこと、たんぱく質もしっかり意識することも大切です。
ヘモグロビンは、体内に酸素を運ぶ役目をしているので、これが不足すると身体のいろいろなところが酸欠になり、頭が痛くなったり、手足が冷たくなったり、力が発揮できなかったりします。

 

鉄は、小腸（主に十二指腸）で吸収されますが、その前に唾液や胃酸で吸収されやすい形にする必要があります。腸内環境が悪く、小腸の状態が悪いと吸収もうまくされません。（通常腸内細菌の多くは大腸にいて小腸にはあまりいませんが腸内環境が乱れたり、胃酸の低下、腸の動きの低下等が原因で小腸で菌が増殖してしまうこともあります。）鉄をしっかり吸収するためには、胃腸を整えることも重要なのです。

胃腸の調子が悪いときに考えられる原因は、

 

かまない食事

胃酸不足

食物繊維不足

睡眠不足

ストレス過多

 

などがあげられます。

 

よく強いアスリートは内蔵も強いと言われますが、しっかり栄養分を吸収できる身体を手に入れるのは大切なことだと思います。まずは、しっかり噛む、規則正しい生活をするというところからはじめてみましょう。

 

そして、やはり貧血は鉄が不足する、鉄欠乏貧血が一番多いのでしっかり鉄分の補給の意識をしなければなりません。

 

鉄分の多い食品は、

 

レバー、赤身のお肉、魚介類、緑黄色野菜、大豆製品等があります。

 

前回紹介したカルシウム、マグネシウムが多い食品と同じものも多いですね。

 

鉄分には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」があります。

 

非ヘム鉄は、ヘム鉄に比べるとかなり吸収率が悪いですが、鉄の吸収をよくしてくれるビタミンＣやクエン酸を摂ることで吸収率をアップすることができます。

ビタミンＣは、パプリカやブロッコリー等の野菜やキウイやいちごや柑橘系果物等に多く入っています。クエン酸は、柑橘系果物や酢、梅干し等に多く入っています。

 

その他に、造血作用のあるビタミンＢ類を摂ることも大切です。

特に魚介類に多いビタミンＢ12や、小松菜、ブロッコリー、ほうれん草等に多い葉酸（葉酸＝ビタミンＢ９）をしっかり摂りましょう。（どれも鉄分も豊富ですね。）
実は、ビタミンＢ類は腸内細菌によっても少し作ることができると言われています。腸内環境を整える重要性がここにもありました。

 

貧血で鉄剤を処方された場合などはしっかり飲む必要がありますが、鉄剤だけを飲んでいればいいというわけではないということですね。

また、国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）は、「18歳以下のジュニア選手は医学的に必要とされた特別な場合を除き、サプリメントを使用するべきではない」という声明も出しています。

今回もいろいろな栄養素や食材が出てきましたが、重なっているものも多いので、赤身のお肉や魚介類、大豆製品、緑黄色野菜、あとできれば海藻類や果物。そういったものがメニューの中に含まれているように意識すれば自然とバランスは整いそうです。

 

反対に鉄不足のときに摂らないほうがいいものもあります。

 

緑茶やコーヒーに含まれるタンニンは、非ヘム鉄の吸収を阻害します。なので、貧血のときは、コーヒー、紅茶、緑茶等は食事といっしょではなく、2時間くらい空けてから飲むようにしましょう。食事のときは、ミネラルウォーターや麦茶がおすすめです。

 

インスタント食品やスナック菓子に含まれるリン酸ナトリウムも鉄の吸収を阻害するので、貧血のときは控えましょう。

 

筋肉が作られるときにも鉄は必要で、汗や尿でも流れ出るので、アスリートは一般的な人より多くの鉄分が必要です。

胃腸を整えて、バランスのいい食事を心がけましょう。

 

次回は、前回にも今回にも出てきた「たんぱく質」について、もう少し詳しいお話をする予定です。